ビジネス向けのだけでなく、「国」に対する「ブランディング」も地方自治体の課題として要検討!台中市で開催中の「台中フローラ世界博覧会(以下は、台中花博または花博)」が知名度の向上に、昨年11月に海外宣伝のためアジア各国から6名のインフルエンサーを招いた。とはいえ、ネット上での話題性において台湾本島からの発信量より、台中市政府に抜擢された「海外インフルエンサー」による海外口コミ数の方がはるかに少ないという現状が!しかも、台中市観光局に選ばれたインフルエンサーの得意分野が同一で、他のジャンルも見たいという大衆の願望があっても叶えないことも!そこで、花博の海外におけるマーケティング効果について、今回AsiaKOL アジア達人通は「花博」をキーワードにし、2018年10月から12月までのインスタグラムユーザーによる口ゴミ関連データからその施策を分析した。
施策に問題?「台中花博」PRに起用された海外インフルエンサーによる口ゴミ数は台湾KOL発信の5%にも及ばない
「台中フローラ世界博覧会」は2018年11月3日に盛大な開幕を迎えた。さらに、それに関するソーシャルマーケティングがもうすでに10月から率先して行われていた。そんな中、台中市政府観光局は「花博」を世界的ブランドとして海外へ売り込むため、ファッション誌「Vogue」(康泰納仕樺舍集團)と連携し、世界に名だたるグローバルブランドに協力を呼びかけながらソーシャルの持つ力も借りたいと、韓国の「Bombyul」やシンガポールの「XinLin Khaw」、香港の「Sadelle」のほか、ベトナムの「Nhatha」、タイの「Lita」、最後に日本の「RUI ONUMA」計6名の「ファッション・トレンド系」KOLを海外宣伝大使として招集した。
ところが、昨年10月〜12月インスタグラム上での「花博」に関するデータから見ると、上述のインフルエンサーによる口コミが広がっていないことは明らかである。そのデータによれば、アジア6国での「花博」にかけたエンゲージメント総数は156,023回で、台湾における口コミ総数は6国の22倍となる。なお、「台中花博」相関の投稿がほとんど台湾KOLによるもので、国内・海外における「#花博」に関する口コミ数に大差が出ている。
また、「#花博」(#discoverTaichung)のエンゲージメント数top150の人気投稿を分析したところ、台湾インフルエンサーによるものは計141件、約全件の94%で、アジア6国KOLの投稿数は全投稿の約6%だったことが判明した。さらに、投稿のtop3それぞれが「ビューティ」「エンタメ」「旅行」という分野に属す台湾インフルエンサーによるものにあって、ベトナムの「Nhatha」とタイの「Lita」の投稿だけがtop20入りで、他のすべてが台湾のビューティ系や旅行系インフルエンサーから発信されたものだと、海外プロモーションの効果は不十分であるとは言えよう。
一方、ニュースにより、台中市観光局はインフルエンサーの独特な個性を生かし、こういった方の既存ファンを通じていっそう海外若年層に台中花博への来場を促そうと、宣伝大使としてわざわざ日本・韓国・香港・シンガポール・タイ・ベトナムから6名のインフルエンサーを招いたという。にも関わらず、海外インフルエンサーによる「#花博」(#discoverTaichung)の投稿におけるエンゲージメント数・ソーシャル話題性・人気投稿数のデータを見ると、花博に対するそれらの方による宣伝効果が十分でないことがはっきりわかった。その原因の一つは「インスタ映えだけど、中身がない」と言われたこれらのインフルエンサーの投稿内容にあるとは言えないのではないが。
越境マーケティングに、多様なコンテンツで注目を集めよう! 自治体に起用された者の人気を超えた海外のグルメ系インフルエンサー
なお、台中市政府はこの機に「花博」そのものの以外にも、ご当地グルメやチェックイン機能向けの観光スポットの露出につながりたいと狙ったが、提携中のインフルエンサーはそのような内容に触れること一切なしに対し、かえって未提携の海外インフルエンサーの注目を集めた!例えば、シンガポール出身のグルメ系インフルエンサー「Matchavibes」は台中にある抹茶系スイーツの紹介で高いエンゲージメント数を獲得した。しかも写真に顔出しなしでもエンゲージメントの高い投稿が続出、その投稿の人気がまさに台中市政府と連携しているシンガポール出身のブロガー「XinLin Khaw」による「#discoverTaichung」の投稿を上回った。そしてタイのタレント「Sara Hohler」の投稿エンゲージメント数も同じタイ出身で提携中のブロガー「Lita」より高かった。
今回、台中市政府に招かれた海外インフルエンサーは皆「ファッション・トレンド系」だった。しかし「外見の良い人を起用する=海外ファンの目を引く」ということではない。前述のように、2018台中花博の海外プロモーションは効果不足である。その原因を探ると、「ルックスの良いインフルエンサーの利用を狙ったとしても、観光客のニーズには応じなかった」という結論は出てくるのでは。
そもそも食べる・飲む・遊ぶ・楽しむ4つのことが旅行の真髄だと。もし台中市観光局がこのまま「#discoverTaichung」ユーザーのニーズや、異なるコミュニティに利用者層の属性が同一でないことを理解しようとしない上、人に応じた多様なコンテンツを作ることもなく、ネットユーザーのことをすべて「インスタ映えの写真しか見ない人」と認識するしかなかったりして、その結果として、いくら見た目の良いインフルエンサーであっても、ただの指先をスッと滑らせた映えた写真の中の一人しかないこととなるだろう。そうして、話題を広げることもできず、台湾の良いところを効果よくPRし難いと考えられる。