「○分でわかる×××(映画名)」「ネタバレ注意」などのようなタイトルやタグは、大多数の方はよくご存じであろう。現代人にとって、テレビや映画などの映像はエンターテイメントとして生活に不可欠なものとなっている。近頃にも数多くのYouTuberやInstagramerがSNS上で映画について感想やあらすじを書いて投稿したりして、視聴者は外出することなく世界中の映画事情を知ることができるようになった。そこで、今回AsiaKOLアジア達人通(以下「AsiaKOL」)は2018年11月〜2019年1月の映画に詳しいインフルエンサーの投稿から、SNS上で最も活躍していたインフルエンサーは一体どなたか、そしてそういった方々にとって、映画感想やネタバレなどの発信において各ソーシャルメディアがどうな性格を持っているかについて調査を行った。
台湾の映画評論系インフルエンサーはInstagramを愛用 ネットユーザーに人気の映画評論系YouTuberは数人しかいない
AsiaKOLが開発したアジアKOL評価データベース(Asia Influencer Evaluation, AIE)のデータ分析の結果により、「映像評論(影視評論)」というジャンルにおいて、映画についての評論や感想に関しては、台湾KOLの最も愛用していたSNSがInstagram(計43名)で、次にFacebook(計10名)だったことがわかった。その中で一番意外だったのは、台湾で「○分でわかる×××(映画名)」というネット動画の代名詞とも言えるインフルエンサーの「谷阿莫」の本拠地となるYouTubeが、よほど映像評論系インフルエンサー(計8名)に利用されていないことにあった。つまり、台湾で映画評論に関する話題はほぼInstagramより発信されているということ。
映画評論系インフルエンサーはInstagramを利用する傾向が顕著な一方、同系YouTuberの方が高いソーシャル影響力を持っている!
一方、台湾の「映像評論系」KOLにおける各SNS上でのチャンネル登録者数およびフォロワー数を基づいた作成の総合ランキングから見ると、YouTubeを利用する「映像評論系」インフルエンサーはそれほど多くないものの、ほかのSNSよりYouTubeの方が影響力を持っていることが明らかである。なお、YouTuberのトップ3の中でチャンネル登録者数がなんと100万人も超えた!それに高人気の「谷阿莫」もインフルエンサーとしてYouTubeしか使用していないとまで公言している。「映像評論系」インフルエンサーの多くはInstagramを利用しているとはいえ、情報拡散においては高い影響力を持っているソーシャルメディアがYouTubeであることがこれでわかった。
YouTuberの創作物は著作権を侵害しているか 5秒でわかる各SNSの特徴!
三大ソーシャルメディアであるInstagram・Facebook・YouTubeは、それぞれに特徴がある。たとえば、Instagramは静止的映像や写真の投稿が主で、インスタ上で映画の画像を公開することでネットユーザーの目を引くことができる。その一例として、インフルエンサーの「那些電影教我的事」は目が吸い寄せられるような美しい映画画像に、ちょっとしたその映画の中に出てくる名セリフを付けて投稿している。そうすると、ファンも思わずその映画の公式サイトや紹介ページをクリックしてしまうだろう。ところが、画像がメインということは、映画の内容に関しては詳しく深く感想や評価を示しづらい面もあると思われる。
それに比べて、Facebook上では長文で述べられるとか、複数画像を並べて表示することが可能で、映画内容をより細かく表現できるし、映画情報にもバリエーションが豊富になる。YouTubeとFacebookの両方を運営しているインフルエンサー「啾啾鞋」を一例として見てみよう。彼はFacebookページを「YouTube動画への誘導」にして、投稿にテキストでファンに動画へのリンク先をクリックしてもらっている。とはいえ、現在の細かい情報が溢れている情報化社会においては、文字や画像を入れすぎると、短時間でネットユーザーの注目が集められないという懸念もある。
一方、YouTuberは動画の中にナレーションを入れつつ、生き生きとした語り方で映画について感想やあらすじを述べている。これはまた視聴者の受けが良かった。ところが、二次創作と言って許諾を得ずに映画を使用して独自に解説や編集を加えたりしていたら、「二次創作」と「パクリ」とのグレーゾーンを踏みいれてしまい、著作権侵害と訴えられる恐れがある。前出のインフルエンサー「谷阿莫」はまさにその一例だった。彼は事前許諾を得ず、公開中の映画の映像の一部を無断に切り取って編集した上、その加工された動画作品をYouTube上にアップし、同社の広告サービスを通じて商業収益を得ていたと、映画製作会社に著作権侵害で訴えられた。その法律違反事件について、本人は「インターネットを利用した著作権の合理的使用の原則に符合していると認識している」と、相変わらず自嘲のような笑いを見せながら主張した。当然なこと、その発言はネット上で物議を醸していた。
「谷阿莫事件」に関してネットユーザーの関連コメントを見ると、法的なトラブルに巻き込んだとしても、谷阿莫は今もなお多くのファンから支持を集めている。先述の「インターネットを利用した著作権の合理的使用の原則に符合していると認識している」という主張が入っていた動画に対するコメントをまとめてみたところ、ファンに「頑張れ」「法律がおかしい」「あなたはすばらしい作品を作っているから」などのコメントがよく寄せられたと、「映像評論」における動画創作に関しては、ネットユーザーは肯定的評価を与えていると言ってもいいのではないか。
近年では、「這群人」「谷阿莫」「蔡阿嘎」等のような二次創作動画を手がけるクリエーターがネット上で大変な反響を呼んでいる。しかし、「二次創作」と「パクリ」との間にはグレーゾーンは依然として存在している。台湾の資策会科学技術法律研究所(資策會科技法律研究所)は※《谷阿莫の二次創作動画を例として二次創作動画は著作権を侵害するかについて》というネット記事の中で、「二次創作」の認定に関してネット上での著作権を合理的使用しているか否かは、裁判官の自由な判断に委ねることだと表明した。というわけで、YouTuberを依頼して二次創作動画の使用において、異なるプラットフォームの各自の特性を理解した上で、ネット上での創造物がどこまでが著作権物として扱われるかを慎重に対応しながら、商品・サービスをプロモーションを行うべし。そうすることで、オリジナリティに溢れた独創的動画コンテンツを見ていただけるのである。
※引用元:《二次創作影片是否侵害著作權以谷阿莫二次創作影片為例》
https://stli.iii.org.tw/article-detail.aspx?tp=3&i=89&d=7121&no=66